背景と方法
コールバーグはピアジェによる子どもの道徳的判断の研究を受け継ぎ、シカゴ大学の博士論文(1958)で少年たちに道徳的ジレンマを示し、判断の理由について面接しました。最もよく知られているのは、妻を救える薬を買えない男がその薬を盗むハインツのジレンマです。コールバーグは、ハインツが盗むべきかどうかという結論ではなく、推論の構造によって段階を判定しました。
3水準6段階
- 前慣習的水準 — 第1段階 罰と服従への志向:正しいのは罰を避けること。第2段階 道具的相対主義:自己の利益と公正な交換が基準です。
- 慣習的水準 — 第3段階 対人的同調(「よい子」)志向:周囲の期待に応え、認められることが正しい。第4段階 法と秩序の志向:社会秩序を維持し、義務を果たすことが正しい。
- 脱慣習的水準 — 第5段階 社会契約への志向:法は人々の合意であり、権利のために変えることができます。第6段階 普遍的倫理原理への志向:正義や人間の尊厳といった普遍的原理に従います。
コールバーグは、段階は文化にかかわらず同じ順序で現れ、飛ばされることはなく、各段階は前の段階を統合したよりよい構造であると考えました。第6段階はカントやロールズの正義の原理に似ています。
研究結果
コルビー、コールバーグらによる20年間の縦断研究(1983)は、段階が年齢とともに順に上がるという主張を支持しましたが、大半の成人は第3〜4段階にとどまり、第5段階はまれで、第6段階は実証的に確認されなかったため採点マニュアルから外されました。
批判とその後の研究
ギリガン(1982)は、コールバーグの理論が主に男性のサンプルから導かれた正義中心の基準を用いており、そのため関係と責任を重んじるケアの声を低く評価していると論じました。判断と実際の行動のずれに関する批判や、理論が西洋の個人主義的価値観を反映しているという文化的批判もあります。レストら(1999)の新コールバーグ派のアプローチは、理論を厳密な段階ではなく道徳的判断のスキーマとして捉え直し、DITテストを開発しました。
参考文献
- Kohlberg, L. (1958). The Development of Modes of Moral Thinking and Choice in the Years 10 to 16 (Doctoral dissertation). University of Chicago.
- Kohlberg, L. (1981). Essays on Moral Development, Vol. 1: The Philosophy of Moral Development. Harper & Row.
- Colby, A., Kohlberg, L., Gibbs, J., & Lieberman, M. (1983). A longitudinal study of moral judgment. Monographs of the Society for Research in Child Development, 48(1-2), 1-124.
- Gilligan, C. (1982). In a Different Voice: Psychological Theory and Women's Development. Harvard University Press.
- Rest, J. R., Narvaez, D., Bebeau, M. J., & Thoma, S. J. (1999). Postconventional Moral Thinking: A Neo-Kohlbergian Approach. Lawrence Erlbaum.