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ペニシリン

🩺 看護・保健学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ペニシリンは青カビ(ペニシリウム)から得られた最初の抗生物質で、細菌の細胞壁の合成を妨げて殺すβ-ラクタム系の薬です。
目次
  1. 1. 偶然の発見と「空白の10年」
  2. 2. 作用の仕組みと種類
  3. 3. アレルギーと耐性
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

偶然の発見と「空白の10年」

1928年9月、ロンドンのセント・メアリー病院のアレクサンダー・フレミングは休暇から戻り、ブドウ球菌の培養皿の一つにカビが生え、その周りだけ菌が死んでいることに気づきました。彼はこの物質を「ペニシリン」と名づけて1929年に論文を発表しましたが、純粋に取り出すのが難しく、薬にはできませんでした。10年あまり後、オックスフォードのハワード・フローリー、エルンスト・チェーン、ノーマン・ヒートリーが精製法を開発して1940年にマウス実験に成功し、1941年に警察官アルバート・アレグザンダーが最初の患者として投与を受けました。彼は回復しかけたものの薬が尽きて亡くなり、大量生産の必要性が明らかになりました。米イリノイ州ピオリアの研究所では市場で買ったメロンのカビで生産量が大きく伸びました。日本でも戦時中に「碧素」の名で国産化が試みられました。

年出来事
1928フレミングが青カビの抗菌作用を発見
1941フローリーとチェーンが初の患者に投与
1944米国で大量生産、ノルマンディー上陸作戦に供給
1945フレミング・フローリー・チェーンにノーベル賞
1945ドロシー・ホジキンがX線で構造解明

作用の仕組みと種類

細菌は浸透圧に耐えるため丈夫な細胞壁(ペプチドグリカン)を必要とします。ペニシリンの4員環「β-ラクタム環」は細胞壁を編む酵素(ペニシリン結合タンパク質)に結合して働きを止め、細菌は破裂して死にます。人の細胞には細胞壁がないため比較的安全です。1945年にドロシー・ホジキンが構造を解明したことで、化学的に改良した半合成ペニシリンが生まれました。ペニシリンG・V、アモキシシリン、アンピシリンなどがあり、セフェム系も同じβ-ラクタム系です。梅毒や溶連菌咽頭炎では今も第一選択薬です。

アレルギーと耐性

ペニシリンアレルギーはよく申告されますが、精密検査をするとその90%以上は実際にはアレルギーではないとする研究が多くあります。誤ったラベルのために広域抗菌薬を使うと副作用や耐性が増えるため、疑わしい場合は医師に検査を相談するとよいでしょう。フレミングは1945年のノーベル賞講演で、量が不十分だと耐性菌が生まれると警告していました。実際にペニシリンを分解する酵素(ペニシリナーゼ)を持つ菌が広がり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)など今日の薬剤耐性問題につながっています。処方された期間と量を守り、残った薬を自己判断で飲まないことが大切です。

この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。

よくある質問

ペニシリンと抗生物質は同じ意味ですか?
違います。ペニシリンは最初に実用化された抗生物質の一種で、抗生物質は細菌を殺したり増殖を抑えたりする薬全体を指します。
ペニシリンアレルギーならアモキシシリンも避けるべき?
アモキシシリンはペニシリン系なので、本当のアレルギーなら避けるべきです。ただし過去の記録が不正確なことも多いので、医師に相談して検査を受けてみてください。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Fleming, A. (1929). On the antibacterial action of cultures of a penicillium, with special reference to their use in the isolation of B. influenzæ. British Journal of Experimental Pathology, 10(3), 226–236.
  2. Chain, E., Florey, H. W., et al. (1940). Penicillin as a chemotherapeutic agent. The Lancet, 236(6104), 226–228.
  3. Abraham, E. P., Chain, E., et al. (1941). Further observations on penicillin. The Lancet, 238(6155), 177–189.
  4. Abraham, E. P., & Chain, E. (1940). An enzyme from bacteria able to destroy penicillin. Nature, 146, 837.
  5. Crowfoot Hodgkin, D. (1949). The X-ray crystallographic investigation of the structure of penicillin. In Chemistry of Penicillin (pp. 310–367). Princeton University Press.
  6. Fleming, A. (1945). Penicillin. Nobel Lecture, 11 December 1945.
  7. Blumenthal, K. G., Peter, J. G., Trubiano, J. A., & Phillips, E. J. (2019). Antibiotic allergy. The Lancet, 393(10167), 183–198.
  8. Lobanovska, M., & Pilla, G. (2017). Penicillin's discovery and antibiotic resistance: Lessons for the future? Yale Journal of Biology and Medicine, 90(1), 135–145.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。