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敗血症

🩺 看護・保健学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
敗血症は、感染症に対する体の調節不全な反応によって、命を脅かす臓器障害が起こる緊急性の高い病態です。
目次
  1. 1. 定義の移り変わり
  2. 2. 原因と症状
  3. 3. 治療と予防
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

定義の移り変わり

「セプシス」は「腐敗」を意味するギリシャ語に由来し、ヒポクラテスも傷が化膿して全身が衰える状態をこう呼びました。1847年、イグナーツ・ゼンメルワイスは医師が手を洗うだけで産褥熱(産婦の敗血症)による死亡が大きく減ることを示しましたが、当時は受け入れられませんでした。現代医学は1991年の北米の合意会議で、敗血症を「感染+全身性炎症反応症候群(SIRS)」と初めて定義しました。しかし範囲が広すぎるとの批判を受け、2016年の第3回国際合意(Sepsis-3)は「感染症に対する制御不能な宿主反応によって生じる、生命を脅かす臓器障害」と定義し直しました。つまり菌そのものより、体の免疫反応が暴走して自分の臓器を傷つけることが本質です。

原因と症状

肺炎、尿路感染症、腹部の感染、皮膚や傷の感染がよくある出発点で、細菌だけでなくウイルス(新型コロナ、インフルエンザ)や真菌も原因になります。高齢者、乳児、糖尿病やがんの患者、免疫抑制薬を使う人はとくに危険です。発熱または低体温、息苦しさ、速い脈、尿量の減少、まだらな皮膚、つじつまの合わない言動など意識の変化があれば疑う必要があります。救急外来では次の3項目のうち2つ以上で危険のサインとみなし、迅速に評価します。輸液でも血圧が回復しない「敗血症性ショック」に進むと、死亡率は40%を超えることがあります。

警告サイン(qSOFA)基準
呼吸数毎分22回以上
意識の変化混乱・見当識の低下
収縮期血圧100mmHg以下

治療と予防

敗血症は時間との勝負です。2006年のクマールらの研究では、敗血症性ショックで有効な抗菌薬の投与が1時間遅れるごとに生存率が約8%下がると報告されました。国際的な「Surviving Sepsis Campaign」ガイドラインや日本版敗血症診療ガイドラインは、疑ったらすぐ血液培養をとり、1時間以内に広域抗菌薬を投与し、十分な輸液と必要に応じて昇圧薬を使うよう勧めています。ペニシリン以降の抗菌薬は生存率を大きく高めましたが、薬剤耐性菌の感染は治療を難しくします。2017年には世界で約4,900万人が敗血症になり1,100万人が亡くなった(全死亡の約5分の1)と推計され、同年の世界保健総会は敗血症を国際的な保健上の優先課題としました。手洗い、肺炎球菌やインフルエンザのワクチン、傷の手当て、感染症の早期治療が予防の基本です。

この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。

よくある質問

敗血症はうつりますか?
敗血症そのものはうつりません。ただし原因となった感染症(肺炎やインフルエンザなど)は人から人へ広がることがあります。
敗血症と菌血症は同じですか?
違います。菌血症は血液中に菌が見つかる状態で、敗血症は感染によって臓器障害が起きた状態です。菌血症がなくても敗血症になることがあります。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Singer, M., et al. (2016). The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3). JAMA, 315(8), 801–810.
  2. Bone, R. C., et al. (1992). Definitions for sepsis and organ failure and guidelines for the use of innovative therapies in sepsis. Chest, 101(6), 1644–1655.
  3. Rivers, E., et al. (2001). Early goal-directed therapy in the treatment of severe sepsis and septic shock. New England Journal of Medicine, 345(19), 1368–1377.
  4. Kumar, A., et al. (2006). Duration of hypotension before initiation of effective antimicrobial therapy is the critical determinant of survival in human septic shock. Critical Care Medicine, 34(6), 1589–1596.
  5. Rudd, K. E., et al. (2020). Global, regional, and national sepsis incidence and mortality, 1990–2017: analysis for the Global Burden of Disease Study. The Lancet, 395(10219), 200–211.
  6. Evans, L., et al. (2021). Surviving Sepsis Campaign: International guidelines for management of sepsis and septic shock 2021. Intensive Care Medicine, 47, 1181–1247.
  7. Semmelweis, I. P. (1861). Die Ätiologie, der Begriff und die Prophylaxis des Kindbettfiebers. Pest, Wien und Leipzig: C. A. Hartleben.
  8. World Health Organization. (2020). Global Report on the Epidemiology and Burden of Sepsis. Geneva: WHO.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。