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セロトニン

🩺 看護・保健学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
セロトニンは気分、睡眠、食欲、腸の動きを調整する神経伝達物質です。「幸せホルモン」と呼ばれますが、うつ病を単にセロトニン不足で説明することはできません。
目次
  1. 1. 歴史
  2. 2. 体内での働き
  3. 3. 抗うつ薬と論争
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

歴史

1930年代、イタリアのヴィットリオ・エルスパメルは腸の粘膜から腸を収縮させる物質を見つけ「エンテラミン」と呼びました。1948年には米国クリーブランド・クリニックのモーリス・ラパポート、アーダ・グリーン、アーヴィン・ペイジが、血清(serum)から血管を収縮させる(tonic)物質を分離して「セロトニン」と命名し、1952年に両者が同じ物質であることが判明しました。翌年ベティ・トワログが哺乳類の脳にもセロトニンを見つけ、神経伝達物質としての研究が本格化します。

体内での働き

体内のセロトニンの約90%は腸のクロム親和性細胞でつくられ、腸の運動や嘔吐反射を調整し、血小板に取り込まれて止血を助けます。脳内のセロトニンは脳幹の縫線核でつくられ、気分、不安、衝動性、食欲、痛みを調整し、夜には松果体でメラトニンに変わって睡眠や概日リズムに関わります。腸でつくられたセロトニンは血液脳関門を通れないので、「腸が脳の幸せ物質をつくる」という話は半分だけ正しいと言えます。

抗うつ薬と論争

1987年に米FDAが承認したフルオキセチン(プロザック)を皮切りに、セロトニンの再取り込みを妨げるSSRIがうつ病やパニック障害の標準治療になりました。しかし2022年、ジョアンナ・モンクリーフらのアンブレラレビューは、うつ病患者のセロトニンが低いという一貫した証拠はないと結論づけ、大きな論争を呼びました。多くの専門家は「セロトニン不足説」は単純化しすぎだったとしつつ、SSRIが一部の患者に効くかどうかは別問題だと見ています。セロトニンを増やす薬を複数併用すると、危険なセロトニン症候群が起こることがあります。意欲や報酬にはむしろドーパミンが大きく関わります。

この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。

よくある質問

セロトニンを増やす食べ物はありますか?
卵、豆腐、チーズ、バナナなどにトリプトファンが含まれますが、食事だけで脳のセロトニンが大きく上がるわけではありません。日光を浴びることと定期的な運動のほうが一貫して勧められています。
セロトニンのサプリを飲んでもいいですか?
5-HTPなどのサプリは抗うつ薬と併用するとセロトニン症候群のおそれがあるので、まず医師に相談してください。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Rapport, M. M., Green, A. A., & Page, I. H. (1948). Serum vasoconstrictor (serotonin). Journal of Biological Chemistry, 176(3), 1243–1251.
  2. Moncrieff, J., et al. (2022). The serotonin theory of depression: a systematic umbrella review of the evidence. Molecular Psychiatry, 28, 3243–3256.
  3. Berger, M., Gray, J. A., & Roth, B. L. (2009). The expanded biology of serotonin. Annual Review of Medicine, 60, 355–366.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。