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技術受容モデル

💼 経営学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
技術受容モデル(TAM)とは、利用者が新しい情報技術を受け入れるかどうかは、主にその技術が仕事に役立つという「知覚された有用性」と、使うのが簡単だという「知覚された使いやすさ」によって決まるとする、情報システム分野の代表的な理論です。
目次
  1. 1. 起源と基本構造
  2. 2. 拡張:TAM2、UTAUT、TAM3
  3. 3. 評価と批判
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

起源と基本構造

技術受容モデルはフレッド・デイビスが1986年のMIT博士論文で提案し、1989年の『MISクォータリー』論文で広く知られるようになりました。源流は、態度と主観的規範が行動意図を通じて行動を予測するとしたフィッシュバインとエイゼン(1975年)の合理的行為理論です。デイビスはこれを情報技術の文脈に合わせて単純化し、「この技術は自分の成果を高めてくれる」という知覚された有用性(PU)と、「この技術を使うのにあまり努力がいらない」という知覚された使いやすさ(PEOU)の2つの信念が、利用態度と意図を経て実際の利用につながると考えました。使いやすさは有用性にも影響します。デイビス、バゴッツィ、ウォーショウ(1989年)はMBA学生のワープロ利用を追跡し、TAMが合理的行為理論より簡潔でありながら同程度の説明力をもつことを示しました。

拡張:TAM2、UTAUT、TAM3

ヴェンカテシュとデイビス(2000年)のTAM2は、主観的規範、イメージ、職務関連性、成果の質といった社会的・認知的要因を加えて有用性の知覚を説明しました。ヴェンカテシュら(2003年)は、TAM、計画的行動理論、ロジャーズのイノベーション普及理論など8つのモデルを統合したUTAUTを提示し、成果期待、努力期待、社会的影響、促進条件を中心要因とし、性別・年齢・経験・自発性を調整変数としました。ヴェンカテシュとバラ(2008年)のTAM3は使いやすさの決定要因を細分化し、UTAUT2(ヴェンカテシュら、2012年)は消費者向けに快楽的動機、価格価値、習慣を加えました。これらのモデルは電子商取引、モバイルバンキング、オンライン授業、医療情報システム、近年では生成AIツールの受容研究にも広く使われています。

評価と批判

キングとヘ(2006年)の88研究のメタ分析は、知覚された有用性が利用意図の強力な予測因子であり、使いやすさは主に有用性を通じて間接的に作用すると整理しました。しかし批判も多くあります。バゴッツィ(2007年)は、TAMは単純すぎて意図と実際の行動のずれや目標・感情の役割を軽視しているとして「パラダイム・シフト」を求めました。ベンバサットとバーキ(2007年)は、多数の派生モデルが積み重なって理論的進展のないまま変数だけが増え、肝心のどう設計すれば有用性が高まるのかを示せていないと指摘しました。自己報告式の質問紙に頼り実際の利用を測れていないという方法上の限界もよく挙げられます。それでもTAMは技術採用を説明する出発点として、今も最もよく引用されるモデルの一つです。

よくある質問

TAMとUTAUTはどう違いますか?
TAMは知覚された有用性と使いやすさという2つの中心的信念に絞った簡潔なモデルで、UTAUTはTAMを含む複数の理論を統合し、社会的影響、促進条件、調整変数まで扱う拡張モデルです。
技術受容モデルは個人消費者にも当てはまりますか?
もともとは組織内の業務システム利用を説明するために作られましたが、UTAUT2などの拡張モデルを通じて、モバイルアプリやオンラインショッピングなど消費者向け技術の受容研究にも広く使われています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Davis, F. D. (1989). Perceived usefulness, perceived ease of use, and user acceptance of information technology. MIS Quarterly, 13(3), 319–340.
  2. Davis, F. D., Bagozzi, R. P., & Warshaw, P. R. (1989). User acceptance of computer technology: A comparison of two theoretical models. Management Science, 35(8), 982–1003.
  3. Fishbein, M., & Ajzen, I. (1975). Belief, Attitude, Intention, and Behavior. Reading, MA: Addison-Wesley.
  4. Ajzen, I. (1991). The theory of planned behavior. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 50(2), 179–211.
  5. Venkatesh, V., & Davis, F. D. (2000). A theoretical extension of the technology acceptance model: Four longitudinal field studies. Management Science, 46(2), 186–204.
  6. Venkatesh, V., Morris, M. G., Davis, G. B., & Davis, F. D. (2003). User acceptance of information technology: Toward a unified view. MIS Quarterly, 27(3), 425–478.
  7. Venkatesh, V., & Bala, H. (2008). Technology acceptance model 3 and a research agenda on interventions. Decision Sciences, 39(2), 273–315.
  8. Venkatesh, V., Thong, J. Y. L., & Xu, X. (2012). Consumer acceptance and use of information technology: Extending UTAUT. MIS Quarterly, 36(1), 157–178.
  9. Bagozzi, R. P. (2007). The legacy of the technology acceptance model and a proposal for a paradigm shift. Journal of the Association for Information Systems, 8(4), 244–254.
  10. King, W. R., & He, J. (2006). A meta-analysis of the technology acceptance model. Information & Management, 43(6), 740–755.
  11. Benbasat, I., & Barki, H. (2007). Quo vadis, TAM? Journal of the Association for Information Systems, 8(4), 211–218.
  12. Rogers, E. M. (1962). Diffusion of Innovations. New York: Free Press.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。