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リアル・ビジネス・サイクル理論

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
リアル・ビジネス・サイクル理論(実物的景気循環理論)は、景気の好況と不況を貨幣や総需要の不足ではなく、生産技術の変化のような実物的ショックに対して合理的な家計と企業が最適に反応した結果として説明するマクロ経済理論です。キッドランドとプレスコットが1982年に提示し、2004年にノーベル経済学賞を受賞しました。
目次
  1. 1. 登場の背景
  2. 2. 中心的メカニズムと方法論
  3. 3. 批判と遺産
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

登場の背景

1970年代のスタグフレーションとルーカス批判以後、マクロ経済学はミクロ的最適化と合理的期待に基づくモデルを求められました。ルーカス(1977年)は景気循環を均衡現象として理解すべきだと主張し、その延長でキッドランドとプレスコット(1982年)は「建設の時間と総量変動」で景気循環を新古典派成長モデルの中で説明するモデルを示しました。ロングとプロッサー(1983年)はこれを「リアル・ビジネス・サイクル」と名づけました。このモデルは貨幣をまったく含まずに戦後米国の景気循環の主な特徴をかなり再現できると主張し、大きな衝撃を与えました。

中心的メカニズムと方法論

RBCモデルでは代表的家計が消費と余暇を異時点間で最適に配分し、企業は資本と労働で生産します。景気循環の主な源泉は全要素生産性のランダムな変化、すなわち技術ショックです。これはソロー(1957年)が成長会計で測定した残差、いわゆる「ソロー残差」で測定されます。正の技術ショックが起こると賃金と資本収益率が一時的に上がり、家計は今より多く働き(労働の異時点間代替)、企業は投資を増やして産出が大きく増えます。投資と資本蓄積はショックの効果を多期間にわたって広げます。プレスコット(1986年)は、ミクロ研究と長期データでパラメータを定め、モデルが生む変動の標準偏差と相関を実際のデータと比較する「カリブレーション」を掲げました。トレンドと循環の分離にはホドリック=プレスコット(HP)フィルターが使われました(ホドリックとプレスコット、1997年)。この枠組みでは景気循環はショックへの効率的な反応なので、景気安定化政策は不要か、かえって有害でありうるという含意が出てきます。

批判と遺産

サマーズ(1986年)は技術が大きく後退して不況が起こるという証拠はなく、労働供給の異時点間代替の弾力性がミクロ推計よりはるかに大きく仮定されていると批判しました。マンキュー(1989年)は大恐慌のような不況を技術の後退で説明するのは難しく、貨幣が実物に影響するという証拠を無視していると指摘しました。ガリ(1999年)は実証的に技術ショックが短期的にはむしろ雇用を減らすという結果を示し、RBCの中心的メカニズムに疑問を投げかけました。ソロー残差には労働保蔵のような要因が混じっているとの指摘もあります。それでもRBCの方法論的遺産は計り知れません。ミクロ的基礎、合理的期待、動学的最適化、一般均衡という枠組みは、価格の硬直性のようなケインズ的摩擦を加えたニューケインジアン・モデルと結びつき、今日中央銀行が用いる動学的確率的一般均衡(DSGE)モデルとなりました(キングとレベロ、1999年、スメッツとワウタース、2007年)。

よくある質問

リアル・ビジネス・サイクル理論を簡単に言うと?
景気がよくなったり悪くなったりするのはお金や需要が足りないからではなく、技術など生産の条件が変わって人々や企業が合理的に労働と投資を調整した結果だという理論です。
DSGEモデルとはどんな関係ですか?
RBCが最初につくったミクロ的基礎と動学的最適化の枠組みに、価格の硬直性のようなケインズ的要素を加えたものが、今日中央銀行が用いるDSGEモデルです。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Kydland, F. E., & Prescott, E. C. (1982). Time to build and aggregate fluctuations. Econometrica, 50(6), 1345–1370.
  2. Long, J. B., & Plosser, C. I. (1983). Real business cycles. Journal of Political Economy, 91(1), 39–69.
  3. Prescott, E. C. (1986). Theory ahead of business cycle measurement. Federal Reserve Bank of Minneapolis Quarterly Review, 10(4), 9–22.
  4. Summers, L. H. (1986). Some skeptical observations on real business cycle theory. Federal Reserve Bank of Minneapolis Quarterly Review, 10(4), 23–27.
  5. Plosser, C. I. (1989). Understanding real business cycles. Journal of Economic Perspectives, 3(3), 51–77.
  6. Mankiw, N. G. (1989). Real business cycles: A new Keynesian perspective. Journal of Economic Perspectives, 3(3), 79–90.
  7. Solow, R. M. (1957). Technical change and the aggregate production function. Review of Economics and Statistics, 39(3), 312–320.
  8. Lucas, R. E. (1977). Understanding business cycles. Carnegie-Rochester Conference Series on Public Policy, 5, 7–29.
  9. King, R. G., & Rebelo, S. T. (1999). Resuscitating real business cycles. In Handbook of Macroeconomics (Vol. 1B, pp. 927–1007). Amsterdam: Elsevier.
  10. Galí, J. (1999). Technology, employment, and the business cycle: Do technology shocks explain aggregate fluctuations? American Economic Review, 89(1), 249–271.
  11. Hodrick, R. J., & Prescott, E. C. (1997). Postwar U.S. business cycles: An empirical investigation. Journal of Money, Credit and Banking, 29(1), 1–16.
  12. Smets, F., & Wouters, R. (2007). Shocks and frictions in US business cycles: A Bayesian DSGE approach. American Economic Review, 97(3), 586–606.
  13. Cooley, T. F. (Ed.). (1995). Frontiers of Business Cycle Research. Princeton: Princeton University Press.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。