発見と睡眠周期
1953年、シカゴ大学の大学院生ユージン・アセリンスキーと指導教授ナサニエル・クライトマンは、眠っている人の眼球が周期的にすばやく動く時間帯を見つけ、「急速眼球運動(Rapid Eye Movement)」と名づけました。続いてウィリアム・デメントは、このとき起こされた人が夢を鮮明に覚えていることを示しました。睡眠は浅いN1・N2から深い徐波睡眠N3へ下り、レム睡眠へ上がる約90分の周期を一晩に4〜6回繰り返します。深い眠りは夜の前半に、レム睡眠は明け方ほど長くなるため、夜更かしや早起きでは特にレム睡眠が減ります。
| 段階 | 特徴 |
|---|---|
| N1 | 眠りに入る移行期、起きやすい |
| N2 | 睡眠の約半分、睡眠紡錘波 |
| N3(徐波睡眠) | 最も深い眠り、成長ホルモン分泌 |
| レム睡眠 | 急速眼球運動、筋肉の弛緩、鮮明な夢 |
レム睡眠の役割
レム睡眠中の脳の酸素消費や活動は覚醒時に近い一方、脳幹が脊髄への運動指令を止めるため手足の筋肉はほとんど動きません。夢の中の行動を実際にしないための安全装置です。研究では、レム睡眠が日中に学んだ技能や情報を整理し、感情的な記憶のとげを和らげることに関わると考えられています。新生児は睡眠の約半分がレム睡眠で、脳の発達とも結びついています。うつ病では入眠後早くレム睡眠が始まる傾向があり、多くの抗うつ薬はレム睡眠を減らします。お酒は寝つきを早めますが、夜の前半のレム睡眠を抑え、明け方に目覚めやすくします。
金縛りとレム睡眠行動障害
レム睡眠の筋肉の麻痺が目覚めた後もしばらく残ると、意識はあるのに体が動かない「金縛り(睡眠麻痺)」が起こります。たいてい害はなく、睡眠不足や不規則な生活で起こりやすくなります。逆に麻痺が外れて夢の中の行動を実際にしてしまうのがレム睡眠行動障害で、1986年に米国ミネソタのカルロス・シェンクらが初めて報告しました。寝ながら叫んだり腕を振り回したりしてけがをすることもあり、50代以降の男性に多く、数年後にパーキンソン病やレビー小体型認知症につながることが多いため早期のサインとして注目されています。こうした症状があれば睡眠ポリグラフ検査を受けるとよいでしょう。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- レム睡眠はどれくらいとれば十分ですか?
- 成人では総睡眠の20〜25%、7〜8時間眠るなら1時間半〜2時間ほどがレム睡眠です。レム睡眠だけを増やそうとするより、十分に規則正しく眠ることが大切です。
- 夢を覚えていないのはレム睡眠がないからですか?
- いいえ。誰でも毎晩レム睡眠をとっていますが、レム睡眠中やその直後に目覚めないと夢の大半は忘れてしまいます。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Aserinsky, E., & Kleitman, N. (1953). Regularly occurring periods of eye motility, and concomitant phenomena, during sleep. Science, 118(3062), 273–274.
- Dement, W., & Kleitman, N. (1957). The relation of eye movements during sleep to dream activity. Journal of Experimental Psychology, 53(5), 339–346.
- Schenck, C. H., et al. (1986). Chronic behavioral disorders of human REM sleep. Sleep, 9(2), 293–308.
- Walker, M. P. (2017). Why We Sleep. Scribner.
