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時間的不整合性

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
時間的不整合性とは、ある時点で最適として立てた計画が、時間がたって実行する段になるともはや最適ではなくなり計画を変えたい誘因が生じる現象で、マクロ経済政策と個人の選択の両方に現れます。
目次
  1. 1. 概念とキッドランド=プレスコット
  2. 2. 金融政策とインフレ・バイアス
  3. 3. 個人の選択と行動経済学
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念とキッドランド=プレスコット

時間的不整合性(動学的不整合性)は、フィン・キッドランドとエドワード・プレスコットが1977年の論文「裁量よりルール」でマクロ経済政策の中心的な問題として定式化しました。この業績は2004年のノーベル経済学賞につながりました。要点は、人々が合理的期待をもって政府の将来の政策を予想し今行動するならば、政府が今日発表した最適な計画は、人々が行動を決めた後にはもはや最適ではないということです。たとえば政府が投資を促すために「今後資本には課税しない」と約束すれば企業は投資しますが、いったん工場が建てられると資本は動けないため、政府は課税したくなります。これを予想した企業は初めから投資を控えます。特許、災害危険地域での建築制限、試験前の「今回は大目に見ない」という教師の約束も同じ構造です。この問題はルーカス批判とともに政策評価のあり方を変えました。

金融政策とインフレ・バイアス

最も有名な応用は金融政策です。期待インフレを織り込んだフィリップス曲線のもとで、中央銀行は人々が低いインフレを予想しているときに予想外のインフレを起こして失業を減らしたい誘因をもちます。人々がそれを知っていれば高いインフレを予想し、結局失業率は変わらないままインフレだけが高まる「インフレ・バイアス」が生じます。バローとゴードン(1983年)はこれをゲーム理論のモデルで分析し、繰り返しゲームでは中央銀行の評判が約束を守らせうることを示しました。解決策としては、固定的なルール、インフレをより嫌う「保守的な中央銀行総裁」の任命(ロゴフ、1985年)、成果契約(ウォルシュ、1995年)、インフレ目標(スヴェンソン、1997年)が示されました。アレシナとサマーズ(1993年)は、中央銀行の独立性が高い国ほど成長率を犠牲にせずにインフレが低かったという証拠を示しました。フィッシャー(1980年)は、政府が国民の利益のために行動していてもこの問題が生じると論じました。

個人の選択と行動経済学

時間的不整合性は個人のレベルでも現れます。ロバート・ストロッツ(1955年)は、人の割引率が一定でなければ今日立てた計画を将来の自分が覆すと論じました。デヴィッド・レイブソン(1997年)は近い将来を過度に割り引く「(準)双曲割引」モデルで貯蓄不足を説明し、オドノヒューとラビン(1999年)は自らの将来のバイアスを知る「洗練された」人と知らない「ナイーブな」人の先延ばし行動を比較しました。これは限定合理性とともに行動経済学の中心テーマとなりました。解決策は自らを縛る「コミットメント手段」です。オデュッセウスがマストに身を縛りつけた話のように、アシュラフ、カーラン、イン(2006年)はフィリピンで定めた日まで引き出せない貯蓄商品が貯蓄を増やしたことを示し、セイラーとベナルチ(2004年)の「明日はもっと貯蓄しよう」プログラムは将来の昇給分をあらかじめ貯蓄に充てさせることで貯蓄率を大きく高めました。政策面の政策無効命題とともに、期待と信頼が政策効果を左右することを示す概念です。

よくある質問

時間的不整合性をわかりやすく言うと?
今日は最善だと約束した計画が、いざそのときになると別の選択のほうが有利に見えて約束を破りたくなる問題です。相手がそれを予想すれば、初めから約束を信じません。
時間的不整合性の問題はどう解決しますか?
政策では固定的なルール、独立した中央銀行、インフレ目標、評判の構築が、個人では引き出し制限付きの貯蓄や自動積立のようなコミットメント手段が解決策として使われます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Kydland, F. E., & Prescott, E. C. (1977). Rules rather than discretion: The inconsistency of optimal plans. Journal of Political Economy, 85(3), 473–491.
  2. Strotz, R. H. (1955). Myopia and inconsistency in dynamic utility maximization. Review of Economic Studies, 23(3), 165–180.
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  4. Barro, R. J., & Gordon, D. B. (1983). Rules, discretion and reputation in a model of monetary policy. Journal of Monetary Economics, 12(1), 101–121.
  5. Rogoff, K. (1985). The optimal degree of commitment to an intermediate monetary target. Quarterly Journal of Economics, 100(4), 1169–1189.
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  13. Svensson, L. E. O. (1997). Optimal inflation targets, 'conservative' central banks, and linear inflation contracts. American Economic Review, 87(1), 98–114.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。