総効用と限界効用
総効用は消費から得られる満足の全体であり、限界効用はもう1単位消費したときの総効用の増加分です。
| 麺の杯数 | 総効用 | 限界効用 |
|---|---|---|
| 1 | 10 | 10 |
| 2 | 16 | 6 |
| 3 | 19 | 3 |
| 4 | 19 | 0 |
| 5 | 17 | −2 |
総効用は限界効用がゼロになるところで最大となり、その後は減少します(数値は説明用)。
歴史
ヘルマン・ハインリッヒ・ゴッセン(1854)が初めて体系的に述べ、1870年代にはジェヴォンズ、メンガー、ワルラスが「限界革命」の中でそれぞれ独立に限界効用理論を築きました。
含意
- 需要曲線:追加の単位ほど価値が下がるため、人々は価格が下がったときにのみ多く買い、需要曲線は右下がりになります。
- 水とダイヤモンドの逆説:水は総効用が非常に大きいものの豊富なため限界効用が低く、希少なダイヤモンドは限界効用と価格が高くなります。
- 再分配の論拠:所得の限界効用が逓減するなら、同じ1ドルでも富裕な人より貧しい人にとって意味が大きくなります(効用の個人間比較には異論があります)。
- 効用最大化:貨幣1単位あたりの限界効用を各財で等しくします(ゴッセンの第二法則)。
限界と例外
収集品、依存性のある財、慣れによって好きになる嗜好などでは、初めのうち限界効用が増加することがあります。現代経済学は測定可能な効用ではなく、無差別曲線と限界代替率逓減によってこの考えを表現します。
参考文献
- Gossen, H. H. (1854/1983). The Laws of Human Relations and the Rules of Human Action Derived Therefrom (R. C. Blitz, Trans.). MIT Press.
- Jevons, W. S. (1871). The Theory of Political Economy. Macmillan.
- Menger, C. (1871). Grundsätze der Volkswirthschaftslehre. Braumüller.
- Mankiw, N. G. (2021). Principles of Economics (9th ed.). Cengage.
- Stigler, G. J. (1950). The development of utility theory. Journal of Political Economy, 58(4), 307-327.