古典的組織論
20世紀初頭、工業化と大規模組織の出現により、組織をどうすれば最も能率的に動かせるかを問う理論が生まれました。これらは概して人を経済的報酬に反応する合理的な行為者とみなし、よく設計された公式構造が能率を高めると仮定しました。
- 科学的管理法:テイラー(1911)は時間・動作研究によって作業の「唯一最善の方法」を見いだそうとし、標準作業量、出来高給、計画と実行の分離を主張しました。
- 管理過程論:ファヨール(1916)は管理を計画・組織・命令・調整・統制に分け、分業、命令の一元性、階層などの原則を提示しました。ギューリック(1937)は最高管理者の機能をPOSDCoRB(計画、組織、人事、指揮、調整、報告、予算)としてまとめました。
- 官僚制:ウェーバーは合法的・合理的権威に基づく官僚制を、規則、階層、文書、専門化、非人格性を備えた最も合理的な組織形態とみなしました。
新古典的組織論
1920〜30年代にウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で行われた実験(Roethlisberger & Dickson, 1939)は、照明などの物理的条件よりも、仲間集団の規範、注目、承認のほうが生産性に強く影響することを示したと解釈されました。ここから、人を社会的存在とみなし、非公式組織、士気、参加、コミュニケーションを管理の対象とする人間関係論が生まれました。バーナード(1938)は組織を協働体系とみなし、誘因と貢献の均衡を強調し、部下が受け入れたときに権威が成立するという権威受容説を提唱しました。
比較
- 人間観:古典的組織論は経済的・合理的な行為者、新古典的組織論は社会的な行為者とみなします。
- 焦点:公式構造と原則か、非公式集団と人間関係か。
- 共通点:どちらも組織の内部に焦点を当て、外部環境をほとんど考慮せず(閉鎖体系的見方)、生産性と能率を目標とします。
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批判とその後の展開
サイモン(1946)は古典的原則を互いに矛盾する「行政の諺」にすぎないと批判し、意思決定と限定合理性を中心とする行動論的アプローチを切り開きました。人間関係論も、実験解釈の妥当性や、管理者中心の操作であるという点で批判されました。その後の研究は組織を環境と相互作用するオープン・システムとして扱い、システム論、コンティンジェンシー理論、アドホクラシーのような有機的形態へとつながりました。
参考文献
- Taylor, F. W. (1911). The Principles of Scientific Management. Harper & Brothers.
- Fayol, H. (1916). Administration industrielle et générale. Dunod.
- Gulick, L., & Urwick, L. (Eds.) (1937). Papers on the Science of Administration. Institute of Public Administration.
- Weber, M. (1922). Wirtschaft und Gesellschaft. J. C. B. Mohr.
- Roethlisberger, F. J., & Dickson, W. J. (1939). Management and the Worker. Harvard University Press.
- Barnard, C. I. (1938). The Functions of the Executive. Harvard University Press.
- Simon, H. A. (1946). The proverbs of administration. Public Administration Review, 6(1), 53-67.