背景
この理論は、リーダー行動を構造づくりと配慮に分けたオハイオ州立大学研究から出発しています(リーダーシップ行動理論)。ハーシーとブランチャード(1969)はこれを課題行動と関係行動に置き換え、どの組み合わせが有効かはフォロワーの状態によると論じました。状況理論全般についてはリーダーシップ理論を参照してください。
フォロワーの成熟度(レディネス)
成熟度は特定の課題に対する能力(職務成熟度)と意欲・自信(心理的成熟度)を合わせたもので、のちに「レディネス」と改称されました。
- M1:能力が低く、意欲も低い。
- M2:能力は低いが、意欲はある。
- M3:能力はあるが、意欲や自信が低い。
- M4:能力も意欲も高い。
4つのリーダーシップ・スタイル
- S1 教示型(telling):課題が高く、関係が低い。何をどうするかを具体的に指示します。M1に適しています。
- S2 説得型(selling):課題が高く、関係も高い。決定を説明し、質問を受け付けます。M2に適しています。
- S3 参加型(participating):課題が低く、関係が高い。決定を共有し、励まします。M3に適しています。
- S4 委任型(delegating):課題が低く、関係も低い。決定と実行を任せます。M4に適しています。
フォロワーが成長するにつれてリーダーはS1からS4へと移り、成果が落ちれば前のスタイルに戻ります。この曲線から「ライフサイクル」理論と呼ばれました。
その後の版と活用
1980年代、ブランチャードはスタイルの名称を指示型、コーチ型、援助型、委任型に改めたSLIIモデルを別途発展させました。シンプルで直感的なため、企業研修、看護管理、教員のリーダーシップ研修などで広く使われています。
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批判
グラフ(1983)は、成熟度の概念があいまいで理論的根拠が弱いと批判しました。トンプソンとベッキオ(2009)の検証でも、処方どおりにスタイルを合わせると成果が高まるという証拠は限られており、主に支持されたのは新しいフォロワーには教示型が有効だという主張でした。
関連項目: アージリスの未成熟―成熟理論、マグレガーのX理論・Y理論
参考文献
- Hersey, P., & Blanchard, K. H. (1969). Life cycle theory of leadership. Training and Development Journal, 23(5), 26-34.
- Hersey, P., & Blanchard, K. H. (1969). Management of Organizational Behavior: Utilizing Human Resources. Prentice Hall.
- Graeff, C. L. (1983). The situational leadership theory: A critical view. Academy of Management Review, 8(2), 285-291.
- Thompson, G., & Vecchio, R. P. (2009). Situational leadership theory: A test of three versions. The Leadership Quarterly, 20(5), 837-848.