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知識経営とSECIモデル

💼 経営学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ひとことで言うと、知識経営は組織内の知識を生み出し、共有し、活用する過程を管理することであり、SECIモデルは暗黙知と形式知が共同化・表出化・連結化・内面化を経てらせん状に拡大すると説明します。野中郁次郎が日本企業のイノベーション事例から導いた理論です。
目次
  1. 1. 知識経営の登場
  2. 2. 暗黙知と形式知
  3. 3. SECIモデルの四つの知識変換
  4. 4. 知識スパイラルと場
  5. 5. 意義と批判
  6. 6. 参考文献

知識経営の登場

1990年代、ピーター・ドラッカーのいう「知識社会」が現実となり、土地・労働・資本よりも知識が企業の中核資源だという見方が広がりました。知識経営(ナレッジ・マネジメント)は、構成員の経験やノウハウを組織全体の資産に変え、新しい製品やサービスに結びつける経営活動です。情報システムを重視するアプローチと、人と組織文化を重視するアプローチがともに発展しました。

暗黙知と形式知

哲学者マイケル・ポランニー(1966)は「我々は語ることができるより多くのことを知っている」と述べ、暗黙知を提示しました。野中はこれを受けて知識を二つに分けました。

  • 暗黙知:熟練工の技や営業の勘のように、経験によって身につき言葉にしにくい知識。
  • 形式知:マニュアル、文書、データベースのように言葉や数字で表され、容易に伝えられる知識。

SECIモデルの四つの知識変換

  • 共同化(暗黙知→暗黙知):徒弟制、観察、協働を通じて経験を共有します。
  • 表出化(暗黙知→形式知):比喩・類推・対話によって暗黙知を概念やモデルとして表現します。野中はこれを知識創造の核心とみなしました。
  • 連結化(形式知→形式知):文書やデータを集めて体系化し、新しい形式知をつくります。情報システムやERPがこれを支えます。
  • 内面化(形式知→暗黙知):実践を通じてマニュアルや研修の内容を体得し、個人の新たな暗黙知にします。

野中・竹内(1995)は松下電器のホームベーカリー開発を例に挙げました。開発者がホテルのパン職人から生地をひねる動作を学び(共同化)、それを「ひねり伸ばし」という概念で表し(表出化)、設計仕様に組み込み(連結化)、メンバーが再びそれを体得した(内面化)のです。

知識スパイラルと場

四つの変換は繰り返され、個人から集団、組織、組織間へと広がります。これが知識スパイラルです。野中・紺野(1998)は知識が生まれる共有された文脈を場と呼び、変換ごとに創発場・対話場・システム場・実践場が必要だとしました。また、トップのビジョンと現場をミドルがつなぐミドル・アップダウン・マネジメントを提唱しました。

意義と批判

SECIモデルは知識の蓄積よりも創造の過程に目を向けさせ、学習する組織の議論とともに組織学習研究の基本枠組みとなりました。しかし日本企業の文化に依拠した事例中心の理論で一般化が難しいこと、暗黙知を完全に形式知へ変換できるという前提がポランニーの本来の意味を単純化していることが批判されています。実務では、共有を評価する文化がなければ知識管理システムは失敗しやすいとされます。

参考文献

  1. Polanyi, M. (1966). The Tacit Dimension. Garden City, NY: Doubleday.
  2. Nonaka, I. (1994). A dynamic theory of organizational knowledge creation. Organization Science, 5(1), 14–37.
  3. Nonaka, I., & Takeuchi, H. (1995). The Knowledge-Creating Company: How Japanese Companies Create the Dynamics of Innovation. New York: Oxford University Press.
  4. Nonaka, I., & Konno, N. (1998). The concept of "ba": Building a foundation for knowledge creation. California Management Review, 40(3), 40–54.

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この記事は2026年10月15日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。