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購買力平価説

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ひとことで言うと、購買力平価説は、同じ商品はどの国でも同じ値段であるべきだという一物一価の法則から出発し、2国通貨の為替レートは長期的に両国の物価水準の比率(あるいはインフレ率の差)に合わせて決まると考える為替理論です。
目次
  1. 1. 一物一価の法則
  2. 2. カッセルの定式化と2つの形
  3. 3. ビッグマック指数とPPP換算率
  4. 4. 現実に当てはまりにくい理由
  5. 5. PPPパズルと評価
  6. 6. 参考文献

一物一価の法則

輸送費や関税がなく自由に取引できるなら、同じ商品は通貨を換算するとどの国でも同じ値段になるはずです。どちらかが安ければ、安く買って高く売る裁定取引が起きて価格差が消えるからです。これを一物一価の法則(law of one price)といい、この原理を個々の商品から物価水準全体へと広げたのが購買力平価説です。

カッセルの定式化と2つの形

スウェーデンの経済学者グスタフ・カッセルは、第一次世界大戦後に各国の物価が大きく食い違った状況のもとで、1918年の論文などを通じて購買力平価説をまとめました。

  • 絶対的購買力平価:為替レート=自国の物価水準÷外国の物価水準。同じ商品バスケットを両国で買う費用が、為替レートで換算すると等しくなるという意味です。
  • 相対的購買力平価:為替レートの変化率≒自国のインフレ率-外国のインフレ率。物価がより速く上がる国の通貨は、その分だけ価値が下がるという意味です。

ビッグマック指数とPPP換算率

イギリスの週刊誌『エコノミスト』は1986年から、世界各国のマクドナルドのビッグマックの価格を比べるビッグマック指数を発表しています。ビッグマックの価格から計算した為替レートと実際の為替レートを比べ、通貨が割高か割安かを手軽に示す指標です。より厳密な用途では、世界銀行の国際比較プログラム(ICP)が多数の財・サービスの価格を調査してPPP換算率を算出し、各国のGDPを購買力ベースで比較するのに使われます。

現実に当てはまりにくい理由

  • 輸送費、関税、貿易障壁のため裁定取引が完全には働きません。
  • 理髪・外食・住居のような非貿易財は国境を越えて取引できません。
  • 国ごとに物価指数の商品バスケットやウエートが異なります。
  • 短期の為替レートは資本移動、金利差、期待に大きく左右されます。

バラッサ=サミュエルソン効果(1964)は、所得の高い国ほど貿易財部門の生産性が高くて賃金が上がり、それが非貿易財の価格まで押し上げるため物価水準が高くなると説明します。そのため豊かな国の通貨は、PPP基準では割高に見える傾向があります。

PPPパズルと評価

ロゴフ(1996)は、実質為替レートがPPPに戻る速度は非常に遅く、乖離の半減期がおよそ3〜5年とする研究結果をまとめ、これを「PPPパズル」と呼びました。そのため購買力平価説は短期予測よりも、長期の為替レートの目安として使われます。金利平価説や国際貸借説など他の理論は為替レート決定理論で比較しています。

出典確認日:2026-10-16

参考文献

  1. Cassel, G. (1918). Abnormal deviations in international exchanges. Economic Journal, 28(112), 413–415.
  2. Balassa, B. (1964). The purchasing-power parity doctrine: A reappraisal. Journal of Political Economy, 72(6), 584–596.
  3. Samuelson, P. A. (1964). Theoretical notes on trade problems. Review of Economics and Statistics, 46(2), 145–154.
  4. Rogoff, K. (1996). The purchasing power parity puzzle. Journal of Economic Literature, 34(2), 647–668.

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この記事は2026年10月16日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。